ごあいさつ

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会津は、季節の移り変わりが鮮明で風景も色鮮やかな場所です。特に夏と冬の環境の違いは、会津盆地ならではのこと。厳しい気候風土をもろともせず、愛情いっぱいに育てられる牛たちは、ストレスもなく健康そのもの。名水地・喜多方の“尾瀬”とも言われる雄国・熊倉地方。会津磐梯山の麓に広がる七つ森など、会津各所で酪農を営む“牛飼い”の皆さんから毎日届けられる搾りたての原乳は、特に良質です。

原乳本来の風味とコクにこだわった「べこの乳」ブランドは、現在の工場に移転する前に弊社の顔となる高品質の製品を作りたいと考えて開発したものです。目指したのは、先代二瓶四郎が牛乳店を始めた頃の風味とコクです。昔は、牛乳をとろとろと鍋で沸かして殺菌していました。殺菌が始まると工場中が何とも言えない甘くいい匂いに包まれました。その後、技術が進みステンレス板の間を熱い蒸気と牛乳とを別々に通らせることで瞬間殺菌する超高温殺菌が主流になりました。すると日持ちがする代わりに鍋で沸かしていたときのコクや風味が失われました。原点に戻り、ほのかな甘さが口いっぱいに広がる昔の味を再現したいと考えました。原料乳の搾乳方法や衛生管理も一段とレベルが上がり、細菌数の少ない原乳の確保もできるようになり、約10年の試行錯誤を経て「保持式」という殺菌方法にたどり着き、ほのかな甘さが口いっぱいに広がる昔の風味とコクを再現することに成功。1987年から発売を開始しました。

おいしいものが出来て、お客様のうれしい声が届くようになると、もっとアイテムを増やしてもっとお客様を喜ばせたいと思うようになりました。「べこの乳」ブランドのコーヒー牛乳「コーヒー特急」、濃厚でなめらかな味わいのヨーグルト「会津の雪」は、そんなはやる気持ちを抑えながら試作品を作り続けて完成させたものです。安定剤や香料などの添加物を一切使わないヨーグルト「会津の雪」は、グルメ番組の厳選素材として紹介されるという名誉にも預かりました。思いもしなかったうれしい出来事は、私たちはもちろん、会津の自然と牛をこよなく愛するまじめな酪農家の皆さんの大きな励みとなりました。

「べこの乳」の発売以来、そのおいしさを一人でも多く人に届けたいと販路拡大にも努めて参りました。試飲で10人の方に味わっていただくと、10人の方が「おいしい」と言ってくださいます。毎年、首都圏で開催されるイベントを心待ちにしていてくださるお客さまもいらっしゃいます。本当にありがたいことです。

振り返ってみますと1948年に先代が「二瓶牛乳」として創業してから６０余年。その道のりは、決して順風満帆ではありませんでした。乗り越えても乗り越えてもやってくる困難と予想もしない出来事に、目の前が真っ暗になったこともありました。苦しみのまっただ中にいるとき、私たちを励ましたのは「忘れられない味」「一度口にすると、また食べたくなる」というお客さまの声でした。

1996年、私たちは、新しい衛生管理を目指して国際的に認められているＨＡＣＣＰによる徹底した品質管理システムを導入することにしました。努力の甲斐あって2003年、国の厳しい認証制度に合格。3年に一度の更新を続けながら「安全」「安心」「おいしさ」を基本に無添加、高品質の乳製品を製造しております。

2011年、私たちは未曽有の大震災によってたくさんのものを失いました。しかし、シンボルマークの「あの子」に込めた思いと「べこの乳」を大切に思う私たちと酪農家の皆さんの思いは、何があっても変わりません。2012年、私たちは自身をブラッシュアップさせながら、さらに高品質の「美味しいものを、美味しいままに」皆さまにお届けすることを誓います。これからも何とぞよろしくお願いいたします。